
ドイツサッカー協会から取得している指導者資格「B+ライセンス」の更新講習へ参加するため、私は2025年9月29日にドイツへ飛び、翌日の30日カールスルーへにあるシュポルトシューレ・シェーネックへ行きました。
久しぶりの講習会、どこか勝手が違う
ドイツサッカー協会の指導者資格の更新に際しては、3年ごとに更新講習を受講することが義務付けられています。今回私の場合、2025年12月31日までに更新講習を受講しなければなりませんでした。
近年ドイツサッカー協会はデジタル化が進み、インターネットを通じて更新講習の申し込みが行われるようになりました。その更新講習の日程をサイト内で探し出すことが予想外に難しく、すでに日程は公表されているはずと知りながらも、私はなかなかそのページへ辿り着けませんでした。
最終的には顔見知りのドイツサッカー協会で働いているインストラクターへ連絡し、一体どこで日程が見られて参加申請ができるのか?尋ねました。そのメッセージを送った日、ダメ元で『やっぱりわかんないよなー』と思いつつも、もう一度更新講習の日程を探したところ、初めて探していたページへ行くことができました。
ところが、ところがです。参加人数に余裕があり、予約申請を受け付けている更新講習のテーマはすべて「女子サッカー」だけでした。他のテーマ、例えば「青少年サッカー」などは既に予約が埋まっていて、もう申し込むことは不可能となっていました。
この瞬間、正直呆然となりました。まさに「時、既に遅し」です。しかしながら、私には猶予は有り得ません。2025年12月31日までには、いずれかの更新講習を受けていなければ、ライセンスの更新が滞ってしまいます。
この時の唯一の判断、決断の助けとなったのは、日頃懇意にしてもらっている明治大学の教授の研究テーマでした。彼のテーマが、まさにその「女子サッカー」だったのです。
「女子サッカー」がテーマの講習会へ参加すれば、多くの受講者が女子サッカーに携わっている指導者たちであろうことから、新しい人脈を作ることができる。その人脈を生かして、教授の研究に一役買うこともできるかも知れない。自分個人としては、他の更新講習のテーマを選びたかったが、もう既に席がすべて埋まっているのであれば、「女子サッカー」を選択することは、決して悪いことではないと思えました。

けがのリスクが男性の4倍!?
一泊二日の更新講習で一番心に残った内容は、「女子選手はけがのリスクが男性の4倍、十字じん帯断裂の可能性は男性の6倍」ということでした。そんなにも男女差があるとは、これまで考えたこともありませんでした。非常にショッキングなデータでした。
このこと聞いて思い浮かぶのは、私がかつて成人の女子チームFFCヴァッカー・ミュンヘン(4部リーグ)の監督をしていたときのある練習でのこと。ウォーミングアップの段階で、ロングキックを蹴ってもらおうとしたら、
女子選手「健二、(この練習をするのなら)ストレッチを先にやらせてください」
と言われました。今思えば、もっと段階を追って飛距離を伸ばしていかないと、女子選手たちには過酷な課題だったのだろうと反省します。
白いパンツはNG
講義の中では、さらに驚くべき証言も受講者の中から飛び出しました。
「白いパンツは、着用しない」
更新講習のインストラクターは女性で、受講者の中にも何人か女性が居て、そのほとんどがサッカーを高いレベルでプレーした経験を持っている人たちでした。ブンデスリーガやブンデスリーガ2部など。
その受講者の中から出てきた言葉が、前出の言葉でした。月経による出血が外見からわかりづらいようにするため、女子サッカーでは試合の際のパンツは白以外が採用されているとのことでした。

もっとショッキングな話も続きます。インストラクター(上の写真 左で立っている)の語った話は、ある日の試合で起きたことについてでした。
「いつも生理痛がひどいので、ある選手は試合当日の朝、家で鎮痛剤を飲んだ。試合会場へ着いてから、不安なのでもう一回鎮痛剤を服用した。
試合が始まり、途中でその選手は骨折をしてしまったが、本人が自分の骨折に気づいたいのは、骨を折ってから5分後のことだった」という内容でした。
こんな話も、男子選手では、まったく聞かれない話である。全く持って大変なことであり、女子のアスリート全員に尊敬の念が湧いてきます。こんなことも乗り越えた上で、スポーツに取り組んでいるというのは、本当にすごいとしか言いようがないと感じました。

指導実践「3バックの機能(戦術的動作)」
更新講習初日の午後4時からは、指導実践が行われました。参加者は4班に分かれ、各班へ指導者役、選手役、フィードバック役の役割が与えられました。
フィードバック役というのは、まずは練習形式をスマートフォーンで撮影、翌日のミーティングでその動画をスクリーンに映し出して再生しながら、指導の良かった点と悪かった点、さらに改善点などを指摘する役割です。
私が所属した3班は守備戦術がテーマとして割り振られ、同日14時〜15時半グループ内で話し合い、詳細なテーマと練習形式を発案し合い、最後にどの案を採用して実際に行うか?を決めました。
さらに指導者役、指導補助(攻撃時間に制限を付けたため、その秒数を計測し、時間オーバーの場合は、選手たちへ声を掛ける)、後方支援などの各人の役割も決めました。
我が3班は二つの練習形式を行い、私が二つ目の練習形式「3バックの機能(戦術的動作)」について指導者役をすることになりました。
担当する練習形式を始める前は、そんなにも緊張していないと感じていましたが、やれ始めてみると、ドイツ語がうまく続いて出てこなくて、焦りました。ですから練習のやり方についての説明は、あまりわかりやすくなかったと反省しています。
かつて16年半ドイツに住んでいたとはいえ、ここ最近約10年はドイツ語でサッカーを指導していないのですから、それも仕方ないかも知れません。
やはりドイツへ到着して、2日目にいきなり講習会へ参加するのは、少々無謀だったと感じました。頭の中のOSを日本語仕様からドイツ語仕様へ変更する時間を踏まえて、せめて2、3日くらい滞在した後に、受講するべきでした。
というのは、その後10月11日にミュンヘンで、かつてのドイツ語の語学学校の先生と再会しました。話し始めてすぐ「君は普段日本語を話しているんだろ?よくそんなに流暢にドイツ語を話せるな。びっくりだよ」と言われたからです。
やはりある程度の期間(時間)ドイツ語だけの世界に埋没しないと、自分の中にあるドイツ語の感覚(OS?)は呼び覚まされないものであることを、実感した更新講習でした。

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